ベロシティは、速くするための数字ではない
ベロシティを目標に置いた瞬間、見積もりが静かに膨らみはじめます。この数字が本当は何のためにあるのか、どう読めば役に立つのかを整理しました。
スプリントを何本か回すと、ベロシティという数字が出てきます。 1 スプリントで消化したポイントの合計です。
この数字は、扱いを間違えるとチームを壊します。 そして、間違えかたはだいたい 1 つです——目標に置くことです。
目標に置くと、何が起きるか
ベロシティを上げようとするチームで最初に起きるのは、開発が速くなることでは ありません。見積もりが大きくなることです。
- 2 ポイントだったものが、なんとなく 3 になる
- 「念のため」の余裕が、全部のカードに少しずつ乗る
- 終わりきらなかったカードを、無理に完了へ動かす
どれも悪意なく起きます。数字を上げろと言われた人が、いちばん摩擦の少ない やりかたを選んだだけです。結果として数字は上がり、実際に届くものは 変わりません。
測るものが目標になった瞬間、それは良い指標ではなくなる。
では、何のための数字か
ベロシティは次のスプリントに何ポイント積めるかを決めるための数字です。 それ以上でも以下でもありません。
過去 3 本が 21・18・23 だったなら、次に積むのは 20 前後です。 30 積んでもいいことは何も起きません。溢れたぶんは繰り越しになり、 繰り越しは次のスプリントの計画を狂わせます。
チーム同士で比べない
ベロシティはチームごとに意味が違います。ポイントの付けかたが違うからです。
A チームの 20 と B チームの 30 を並べても、分かることは何もありません。 比べていいのは、同じチームの、時間をまたいだ自分自身だけです。
人が入れ替わったときも、いったんリセットして考えてください。 新しく入った人が慣れるまで数字は落ちます。それは正常です。
落ちたときに見る順番
ベロシティが落ちたとき、原因を「頑張りが足りない」に置かないでください。 見る順番はこうです。
- 割り込みが増えていないか — スプリント外の依頼で時間が溶けていないか
- レビューで詰まっていないか — 作り終わっているのに完了していないカードの数
- カードが大きすぎないか — 1 枚が数日かかると、スプリントの中で終わらない
- 人が減っていないか — 休みや異動が、キャパの計算に入っているか
このうち 1 から 3 は、たいてい仕組みで直せます。4 は数字のほうを直します。
見なくていい日もある
毎日ベロシティを見る必要はありません。見るのは、次のスプリントに何を積むかを 決めるときの 1 回だけで足ります。
数字は、決めるときに使うためにあります。眺めるためではありません。



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